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アークティック・モンキーズとソロ、それぞれ進歩を遂げたザ・ラスト・シャドウ・パペッツの2人が8年ぶりの合流作で示したものは?(Album Review)

 ザ・ラスト・シャドウ・パペッツが、実に8年ぶりとなるアルバム『Everything You’ve Come to Expect』をリリースした。「あなたが予期し得たことのすべて」と言われても、僕個人としてはこうしてセカンド・アルバムが届けられること自体、驚きを禁じえなかった。アレックス・ターナー(アークティック・モンキーズ)とマイルズ・ケインという2人の同世代シンガー/ソングライターによるこのグループは、そもそもデビュー時期のアークティック・モンキーズのツアーに当時のマイルズのバンド(ザ・リトル・フレイムス)が帯同したことをきっかけにして、両者が意気投合し2007年に結成された。


 飛ぶ鳥を落とす勢いだった当時のアークティック・モンキーズ人気にも後押しされ、ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ初のアルバム『The Age of the Understatement』(2008)はUKチャート1位を記録した。アークティック・モンキーズはその頃すでに2作のアルバムをリリースしており、破格の新人バンドからUKを代表する名バンドへと成長を遂げてゆく。一方のマイルズは、ザ・リトル・フレイムス→ザ・ラスカルズとバンドを渡り歩き、現在はソロ名義でアルバムをUKトップ10圏内に送り込むアーティストへと成長した。それぞれが立派なキャリアを歩んできたことで、なかなかザ・ラスト・シャドウ・パペッツの新作製作に取り掛かるのは難しいのでは、と思われたのだが、2人の創作意欲は再びこうして花を開かせた、というわけだ。


 それにしても、今となってはUK1位の前作さえ荒削りに思えてしまうほど、それぞれの大きな成長と化学反応が落とし込まれた作風である。スコット・ウォーカー風の芝居がかったストーリーテリングが主だった前作とは異なり、無鉄砲なまでのチェンバー・ロックンロール「Bad Habits」、殺伐としたドラマ仕立ての連作ビデオが製作された「Aviation」と舞曲風の表題曲「Everything You’ve Come to Expect」、アレックスが朗々と歌い上げるサザン・ソウル風の「Sweet Dreams,TN」と、極めてヴァラエティ豊かに、また自由奔放に、表現の枠組みを押し広げている。


 さらに驚くべきことに、これまで単発ライヴやフェス出演ぐらいでしかステージに立つことのなかったザ・ラスト・シャドウ・パペッツが、本作を携えてワールド・ツアーに乗り出した。ロンドンを皮切りに、北米や欧州諸地域でのスケジュールが既に決定しているのだが、この4月27日には一夜限りの来日公演が東京・新木場スタジオコーストで行われる。このグループでは初来日であり、新編成バンドでのステージを繰り広げることになるはずだ。現代のUKロック街道を邁進しスキルを培ってきた2人が、遊び心たっぷりに取り組むアルバムとステージを、ぜひ楽しんでほしい。(Text:小池宏和)


◎リリース情報
『Everything You've Come To Expect(エヴリシング・ユーヴ・カム・トゥ・エクスペクト)』
2016/04/01 RELEASE(世界同時発売)
Domino/Hostess
HSE-1066 2,490円(tax out.)
※日本盤は40ページに及ぶエクスクルーシヴ写真を含むハードブック仕様。ボーナストラック1曲、歌詞対訳、ライナーノーツ付

Billboard JAPAN|Daily News 2016年4月5日 14:00:00 更新

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