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倉木麻衣 15周年記念公演に見たポップスターの矜持“音楽で人は救える”

 1999年12月8日「Love, Day After Tomorrow」で鮮烈デビューし、日本の音楽シーンに欠かせないポップスターの一人として走り続けている倉木麻衣。12月6日 日本武道館にて15周年記念と単独300回を記念し、アニバーサリーライブを開催した。


<まるでマイケル・ジャクソン「他の人とぶつかり合うことを怖れずに」>


 総勢300人から成る超豪華ステージで全36曲約4時間にわたって開催されたアニバーサリーライブ【15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” 〜Premium〜】。超満員の観客による「Mai.K」コールの後、倉木麻衣は登場するなり人差し指を天に掲げ、かのマイケル・ジャクソンのように立ち止まったまま大歓声を一身に浴びる。そして爆音と共に何本もの火柱が燃え盛ると、お馴染みのダンサーや来年デビューする後輩ガールズグループ La PomPonたちとキラーチューンを連発。高さ6m幅36mの超巨大LED、高さ9mまでせり上がるテレスコタワー、2連のドーナツ型で上下するセンターサークル等、5周年記念公演を過去最高の内容にする為の演出や設備も半端なく、彼女もそれらの迫力に一切臆することなく堂々と歌い踊るのだが、その姿からは15年間自身を育ててくれた人々に対する感謝。毅然と過去最高のパフォーマンスをしなくては申し訳ないという、生真面目ゆえに抱ける凄まじい覚悟。そして影響力を持つポップスターとしての使命感が滲み出ていた。


 「みんな、時には心をからっぽにして、そしてもっと熱く、他の人とぶつかり合うことを怖れずに、もっともっと自分を出していこうよ!」


<13名のバレリーナ&67人にも及ぶ東京ニューシティ管弦楽団登場>


 新旧ヒットナンバーを90分間ほぼノンストップでお届けすると、ライブは15分間の休憩タイムへ。まるでクラシックコンサートのようだが、休憩明けにはなんと実際にクラシックコンサート然としたステージが展開される。次々とポップスコンサートの常識を根底から覆す衝撃的な光景を生んでいくのだが、まずは「Waltz of the Flowers「くるみ割り人形」より」に合わせて13名のバレリーナが登場。彼女たちの華麗なる舞いに心奪われていると、その背後の巨大なセットが上へ引っ張られるように宝箱のごとく開き出し、藤原いくろう率いる総勢67人にも及ぶ東京ニューシティ管弦楽団の面々が姿を現す。そのほとんどファンタジーの世界観を目前にしただけでも衝撃だが、更に観客の度肝を抜いたのは倉木麻衣の歌声。J-POPシーン随一のウィスパーの使い手である彼女が、フルオーケストラ仕様の迫力ある歌唱法に切り替え、まるでミュージカル女優のように自身の曲を次々とクラシックナンバーへと生まれ変わらせていく。


 ライブでは過去にもソウルフルな歌声を響かせたり、世間のイメージを覆すボーカルも多々披露してきた彼女ではあるが、単独300回目の公演で聴かせたその声は歌い手としての可能性、伸びしろがまだまだあることを明らかにした。また、同時に倉木麻衣の楽曲群がポップスとしてだけでなく、音楽として如何に素晴らしいものであるか、アレンジも歌唱法も大きく変化/進化させたことにより明確に。これは自分と共に歩き続けてきてくれた楽曲たちへの感謝の表れのようにも感じられた。すべての楽曲が静かに躍動していく。


 Meiの歌うヴァイオリンによる「Secret of my heart」も挟みつつ、本編最後は客席に突如現れた200名から成るコーラス隊と「STAND BY YOU」「chance for you」といったメッセージソングを連発。どちらも倉木麻衣が歌い続けてきた理由そのものと言っていいナンバーである。音楽で世界は変えられる、音楽で誰かを救うことはできる。そう本気で信じる彼女の愛のメッセージを会場一体となって口ずさんでいくドラマは、この上なく純粋で美しく多くの涙を誘った。


<自分自身が音楽によって救われることがたくさんあって>


 そしてライブはアンコールへ。改めて会場の熱量を高めるべく、右へ左へ全力疾走しながら「Stand Up」「always」「Love, Day After Tomorrow」等の代表曲を披露していくのだが、共に大はしゃぎするファンの姿を見つめながら彼女はこう語った。


 「本当に胸いっぱいです。夢のような時間が流れてます。本当にありがとう。みんなにとっても特別な1日です。私自身にとっても本当に特別な1日を過ごさせて頂いています。皆さんにぜひ伝えたい1曲があります。17からデビューしていろんな曲を書いてきたんですけど、いろんな詞を作ってきたんだけど、自分自身が音楽によって救われることがたくさんあって、そのときに感じた想いを歌にしてきたんだけど…………いつも一歩前にあるものを“為せば成る、何事も”という気持ちでやってこれました。その気持ちを持てたのはみんながいてくれて、そして音楽がずっとそばに在ってくれたから。だからここに居れるんじゃないかなっていう風に感じてます。そんな曲を皆さんに。遠い未来を素敵に想えたら、きっとまた歩き出せるんじゃないかなと思います」


 涙を堪えながらそう語ると、再び藤原いくろう率いる東京ニューシティ管弦楽団と共に「Special morning day to you」を歌い始めた。


 一人じゃ何しても 切なくなるけれど...
 あなたがいてくれる
 どんなときも


 まるで倉木麻衣とそのリスナーの歌である。そして明るい未来をみんなと創っていきたいという、彼女らしいメッセージ。


<ポップスターとして生きてきた倉木麻衣の矜持>


 過去のインタビューで彼女は「音楽を歌い続けることで世界は良くなる。良い方向に向かうと信じてる?」という問いに対し、迷わず「信じてます。そこに疑う余地はないです」と即答したことがある。これぞポップスターとして生きてきた倉木麻衣の矜持であり、目の前にいる人たちの力になろうとする、救いたいと願う姿勢によって倉木麻衣の15年間は在ったと言える。そのことを強く再認識させた【15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” 〜Premium〜】。まだまだ彼女の冒険は終わらない。


取材&テキスト:平賀哲雄


◎ライブ【15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” 〜Premium〜】
12月06日(土)日本武道館 SET LIST:
1.PUZZLE
2.touch Me!
3.Wake me up
4.Delicious Way
5.You can
6.Secret of my heart
7.Your Best Friend
8.Tomorrow is the last Time
9.Stay by my side
10.Reach for the sky
11.Revive
12.Strong Heart
13.NEVER GONNA GIVE YOU UP
14.Simply Wonderful
15.わたしの、しらない、わたし。
16.Feel fine!
17.TRY AGAIN
18.DYNAMITE
19.無敵なハート
Waltz of the Flowers「くるみ割り人形」より
20.The Sound of Music
21.さくら さくら...
22.恋に恋して
23.Time after time 〜花舞う街で〜
24.冷たい海
25.明日へ架ける橋
26.会いたくて...
27.あなたがいるから
28.白い雪
29.もう一度
30.儚さ
31.STAND BY YOU
32.chance for you
En1.Stand Up
En2.Special morning day to you
En3.always
En4.Love, Day After Tomorrow

Billboard JAPAN|Daily News 2014年12月9日 17:55:00 更新

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