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普遍的な夫婦の愛を描いた不朽の名作、新国立劇場『夕鶴』レポート

 栗山民也演出のオペラ『夕鶴』が、新国立劇場にて7月1日に開催された。


 本作は、木下順二による戯曲をもとに、團伊玖磨が作曲した日本オペラの代表作。人間の女性に化けた鶴が愛する夫のために文字通り身を削り、自分の羽で布を織るという献身的な愛を描いたストーリーで、国内外での公演数は800回以上にのぼる。


 開演時間が迫りロビーの人が客席につき始める中、ふとステージに目をやると舞台は既に青く染まり、しんしんと雪が降っている。外の暑さを忘れさせてくれるような静謐な雪景色に目を奪われていると、オーケストラとともに物語がスタートした。ステージの下手には近代的な壁と階段。一方の上手には与ひょうとつうの暮らす小さな民家。そして中央には、2つのセットを結びつけるかのように街灯にも見えるような一本の枯木が佇んでいた。


 命を削りながらも、与ひょうのために布を織り続けるつう。つうを演じた澤畑恵美はあでやかな所作で与ひょうのみならず観客をも魅了し、切々と愛と現実の狭間で苦悩を歌い上げた。一方、無垢なあまり、身を削るつうに気が付かず、お金欲しさに布をせがむ与ひょう。機織りをしている姿を見てはいけないという約束さえも破ってしまうが、出来上がった布を見て喜び、つうの悲しむ様に全く気づく様子がない。与ひょう役の小原啓楼の声は、つうの思いとは裏腹にあまりにも明るく朗らかで、一層つうの悲哀を助長した。愛する気持ちがあっても、様々な外的要因によって価値観が変化し、夫婦間に溝が生まれるという問題は今も昔も同じ。大友直人指揮による東京フィルハーモニー交響楽団によるダイナミックな演奏は、そんな揺れ動く2人の気持ちを雄弁に物語っているかのようだった。本作は、7月1〜3日までの公演を終え、7月9日〜15日まで「高校生のためのオペラ鑑賞教室」として上演される。撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場


◎公演情報
團伊玖磨オペラ「夕鶴」
7月1日〜3日
会場:新国立劇場
作:木下順二
指揮:大友直人
演出:栗山民也
美術:堀尾幸男
衣裳:植田いつ子
照明:勝柴次朗
振付:吾妻徳穂
再演演出:澤田康子
舞台監督:大澤 裕


キャスト:7月1日、3日
つう:澤畑恵美
与ひょう:小原啓楼
運ず:谷 友博
惣ど:峰 茂樹


7月2日
つう:腰越満美
与ひょう:鈴木 准
運ず:吉川健一
惣ど:久保和範

Billboard JAPAN|Daily News 2016年7月8日 19:00:00 更新

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