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ピアソラと共演した伝説のタンゴペア 愛と栄光、憎しみと苦悩のドキュメンタリー『ラスト・タンゴ』

 14歳と17歳で出会い、50年もの長い間ペアを組んだマリアとフアンの、栄光と愛と憎しみを描いたタンゴ・ドキュメンタリーが開幕する。若手トップ・ダンサー達の演じる情熱的なタンゴが、二人のドラマをよりリアルに感じさせてくれる。


 世界に名声を轟かせた、タンゴ・ペアのマリアとフアン。50年も寄り添ったペアが、何故突然解消したのか。その二人の愛憎に注目が集まる本作だが、音楽ファンとしては同時代を生きたアストル・ピアソラの人生とタンゴの衰勢が、生きたものとしてオーバーラップすることは間違いない。


 ピアソラはタンゴブームが到来した40年代、当時最先端であったトロイロ楽団に参加。今回の映画のサウンドトラックにも多く登場している。1954年、タンゴに限界を感じたピアソラは渡仏した。その翌年にはタンゴブーム終息の危機感からマリアとフアンも画期的なタンゴ・ショーを創り出し、同年帰国したピアソラは前衛的な作風のブエノスアイレス八重奏団を結成したのだ。


 1959年には遂にこのペアとピアソラが邂逅する。共に作り上げたショー『The Copes Argentina
Revue』は成功を収め、これがきっかけでニューヨークへ進出することになる。ラスベガスで挙げたフアンとの結婚式と相まって、マリアの幸福の絶頂期だ。そしてリベルタンゴが作曲された1974年、マリアはフアンへの尊敬と憎しみと怒りの渦巻く心を秘めながら、完璧なダンスでダンサーとしての絶頂期を迎えていた。


 ドイツ生まれで、タンゴに無くてはならない楽器となったバンドネオンの哀愁あふれるサウンドが、タンゴの名曲へのせて二人の愛と憎しみを心の襞へと寄り添わせる。アルゼンチン生まれでドイツに長く住むヘルマン・クラル監督だからこそ、この『ラスト・タンゴ』を産み出すことが出来たのだろう。師であるドイツの巨匠、ヴィム・ヴェンダースを製作総指揮に迎え、ダンス・ドキュメンタリーとしては万全の布陣だ。


 ドイツとアルゼンチンという二つの国が生み出した、最高のタンゴ・ドキュメンタリー。7月9日からBunkamuraル・シネマほかにてロードショー。text:yokano


◎公開情報『ラスト・タンゴ』
7月9日全国ロードショー
(C) WDR / Lailaps Pictures / Schubert International Film / German Kral Filmproduktion
More info:http://last-tango-movie.com/

Billboard JAPAN|Daily News 2016年7月7日 17:00:00 更新

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