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ソフト・サイケデリックな世界に溺れる…これ以上ないほどにドリーミーなジョルジオ・トゥマの最高傑作(Album Review)

 音楽の世界に“桃源郷”というジャンルがあったとしたならば、真っ先に殿堂入りしそうなのがジョルジオ・トゥマだ。これ以上ないほどにドリーミーな彼の歌世界は、ソフトロック・ファンなら必聴だろう。6年ぶり4作目となるアルバム『ディス・ライフ・ディナイド・ミー・ユア・ラヴ』は彼の最高傑作に仕上がっている。


 イタリアの古都レッチェで生まれ育ったジョルジオは、17歳でステレオラブに傾倒したという根っからのポップ指向。彼がフェイバリットに挙げるのは、ブライアン・ウィルソン、アントニオ・カルロス・ジョビン、ニック・ドレイクといった内省的な音楽家に加え、アルマンド・トロヴァヨーリやピエロ・ピッチオーニのような映画音楽作家や、モーリス・ラヴェルなどのクラシックの作曲家だ。2003年にデビューして以来、とにかく美しいメロディとハーモニーを駆使して白昼夢のような音楽を作り続けてきた。本作もその延長線上ではあるが、さらにブラッシュアップされている。


 冒頭の「ザ・ウィングス・オブ・ア・ルーザー」では、シンセサイザーのヴィンテージな響きと、霧の奥で響くようなヴォーカル・スタイルがとにかく神秘的。また、ハイ・ラマズからの影響を感じさせる「モウド・ホープ」や、まるでロジャー・ニコルスのように流麗な「フォクシーズ・ドント・ライ」など、聴き進めるごとに彼の魔法のような音の世界に引き込まれていく。とろけるようにスウィートなサウンドは、70年代にタイムスリップしたかのような感覚だ。なかには、レゲエのリズムを取り入れた「スルー・ユア・ハンズ・ラヴ・キャン・シャイン」のような変化球もあり、音楽性の振り幅もアピールしている。極上のポップ・サウンドを聴けば聴くほど、彼の才能に驚かされるだろう。そして、禁断の阿片窟に閉じ込められたように、そのソフト・サイケデリックな世界に溺れてしまうのだ。


Text: 栗本斉


◎リリース情報
『ディス・ライフ・ディナイド・ミー・ユア・ラヴ』
ジョルジオ・トゥマ
2016/03/16 RELEASE
2,484円(tax incl.)

Billboard JAPAN|Daily News 2016年3月23日 12:30:00 更新

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