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Album Review: ティナリウェン 攻撃的かつ個性的なサウンドが魅力のサハラ砂漠の遊牧民による傑作ライヴ盤『不屈の魂〜ライヴ・イン・パリ』

 “砂漠のブルース”なんていうキャッチフレーズでワールドデビューし、音楽ファンの度肝を抜いたのは早15年ほど前のこと。ティナリウェンを取り巻く状況は、日々劇的に変化している。サハラ砂漠の遊牧民であるトゥアレグ人である彼らは、ここ数年はイスラム過激派やマリ共和国の政府軍との紛争に巻き込まれているからだ。実際、一時拘束されたメンバーもいるほどだが、不屈の精神で活動を続け、2014年発表の前作『エンマー 〜灼熱の風〜』は、弾圧を逃れて米国のヨシュア・トゥリーでレコーディング。そして、そのリリースを受けて大規模なワールドツアーを行い、最終日の模様を収めたのがこの『不屈の魂〜ライヴ・イン・パリ』というライヴ・アルバムである。


 彼らの魅力といえば、うねるようなギターのブルージーなフレーズと、そこに絡んでくるヴォーカルとコーラスのコンビネーションにつきるだろう。7人のメンバーのうち、5人がエレクトリック・ギターをかき鳴らしながら歌い、これにベースとパーカッションが併走してくる。曲によっては手拍子なども加わり、淡々としたリズムの合間から浮かび上がるのは、トランシーなグルーヴだ。そして、そのシンプルながら凄まじい流れに乗って聞こえてくる男声コーラスが、まるで嘆きと祈りのように聞こえてくるのだ。ライヴならではの揺れやヨレ具合がまた、彼らの演奏が持つ躍動感を感じさせてくれる。オープニングとエンディングには、ティンデというパーカッションの名手であるララ・バディが加わり、さらに強力な酩酊感を生み出しているのが見事だ。これまでのスタジオ録音作はどれも聴き応えがあるが、このライヴ盤こそ最高傑作と言ってもいいかもしれない。


 ティナリウェンが奏でる音楽は、攻撃的かつ個性的であることは、聴く者誰もが感じるだろう。そして、ライヴ・レコーディングすることで、さらにその凄みを体感できるはずだ。加えて、昨今の社会情勢に目を向けざるを得なくなるというのも、彼らの存在価値を高めている。奇しくも悲惨なテロ事件が起こったパリでの録音ということもあり、2015年を忘れないための記録作品になっていくことだろう。


Text: 栗本 斉


◎リリース情報
『不屈の魂〜ライヴ・イン・パリ』
ティナリウェン
2016/01/06 RELEASE
2,808円(tax incl.)

Billboard JAPAN|Daily News 2016年1月25日 14:40:00 更新

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