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「一つ一つの曲にジョンとの思い出が詰まっている」 ジョン・レノン生誕75周年記念コンサートにウィリー・ネルソン、スティーヴン・タイラー、ザ・ルーツらが結集

 今年、生誕75周年を迎えたジョン・レノンの誕生日を祝うスペシャル・コンサートが12月5日に米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン・シアターで開催された。


 【IMAGINE: John Lennon 75th Birthday Concert】と題されたこのコンサートには、ジョン・フォガティ(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)、スティーヴン・タイラー(エアロスミス)、ブランドン・フラワーズ(ザ・キラーズ)、スプーン、ウィリー・ネルソン、シェリル・クロウ、ザ・ルーツなどジョンの音楽とメッセージに強く影響を受けた新旧そしてジャンルも飛び越えた豪華アーティストが結集。ポール・マッカートニーとリンゴ・スターからの心温まるビデオ・メッセージも届けられ、会場全体が祝祭感に包まれる一夜となった。


 開演前の会場の各座席には「WAR IS OVER(IF YOU WANT IT)」のポストカードが置かれ、40年以上前に発せられたジョンのメッセージが今までになく必要とされている時代にいることを気づかされる。会場スクリーンに流れていたジョンとヨーコのビデオクリップが終わり、会場が暗闇に包まれた。ライトを浴びて現れたのは、アコースティック・ギターを抱えたジョン・フォガティ。1曲目は「Give Peace a Chance」。 クリスマス・ライトのように小さなライトが散りばめられたステージにジョンとヨーコの「ベッドイン」のポートレートが浮かび上がる。舞台はシンプルで、今夜の主役が歌とそれを奏でる人々であることを教えてくれる。

 満場の歓声を浴び歌いきったフォガティは、短く「今度は僕の一番好きな曲を歌うよ」と話すと「In My Life」を大切そうに歌った。ジョン・レノンの持つ外に向かうエネルギーと自分の内面を深く見つめる透徹した眼という二つの顔をフォガティは最初の2曲で見事に提示してみせた。そして、この2曲で今夜、ソロ時代とビートルズ時代の曲が分け隔てなく披露されることも示唆され、観客は次に誰がどの曲をやるのか、あらゆる可能性に胸を高鳴らせることとなった。

 「ジョン、誕生日おめでとう」という挨拶とともに、パフォーマンスをつなぐホスト役として登場したのは、俳優のケビン・ベーコン。この日はもちろんジョンの誕生日よりむしろ命日に近いのだが、会場全体が75歳の誕生日を祝おうというテーマに貫かれており、しめっぽさはまったくない。ベーコンもカジュアルなジャケットにジーンズ姿で、ジョンの誕生日パーティにあらわれたような親密さを演出していた。

 ジョンのトレードマークともなった「NEW YORK CITY」のTシャツに黒のリッケンバッカーで決めたのはシェリル・クロウ。高らかに冒頭のコードを響かせると「A Hard Day’s Night」でこの日初めてのガツンとしたロックナンバーを響かせ、間奏前でもしっかりとシャウトを決めて、会場をわかせた。どのアーティストもその技量と音楽性は折り紙付きだが、原曲を尊重し最小限のアレンジに抑え、さながら楽しんでコピーをしていた少年少女時代に戻ったかのような活き活きとした表情を見せていた。またそれは、ジョンとビートルズの楽曲が足すことも引くこともできない完成度で、時代を経ても屹立していることを裏付けてもいるだろう。

 後半戦をスタートしたのは昨年リリースしたアルバムが絶賛され、最も波に乗っているロック・バンドの一つ、スプーン。チョイスしたのはこのバンドらしいヘビーなギターが炸裂する「Hey Bulldog」と「Cold Turkey」の2曲。絞り出すようなボーカル・スタイルはジョンを彷彿とさせた。

 「一つ一つの曲にジョンとの思い出が詰まっている」と興奮を抑えきれない表情で語りながらステージにあらわれたオノ・ヨーコは、クラシック音楽で育った自分に「ロックンロールは永遠だよ!」とジョンが語ったエピソードを披露し、満場の賛成を得た。

 続いて“アメリカ音楽の生ける伝説”と紹介され、ウィリー・ネルソンがゆっくりとステージに姿をあらわした。しっとりと歌い上げた「Imagine」は観客の心を揺さぶり、スタンディングオベーションで見送られながらステージを後にした。

 一気に会場を沸点まで持ち上げたのは、スティーヴン・タイラーの「Come Together」。おなじみのマイクパフォーマンスを披露し「ニューヨーク!」と客席に呼びかけ、一緒に熱唱。「レボリューションを起こしたいか!」とさらに客席をあおると「Revolution」をたたみかけた。

 興奮状態の会場スクリーンに映し出されたのは、リンゴ・スターの姿。このイベントのために特別なビデオレターを寄せてくれたのだ。「ジョンの歌を歌ってほしいと誘われたんだけど、彼が僕のために書いてくれたこの曲を聴いてもらう方が、意味があると思ったんだ」というコメントの後に、「I’m the Greatest」のライブ映像が流された。

 続いてこのシーズンにぴったりの「Happy Xmas! (War is Over)」。シェリル・クロウらの歌声に会場が包まれる。合唱団によるコーラスの余韻が響く中、スクリーンにあらわれたのは、もう一人のビートル、ポール・マッカートニー。


 「やあ、みんな!本当は会場に行きたかったんだけどイギリスで家族と過ごしていて残念だけど行けないんだ。みんなジョンの75歳の誕生日を祝って、素晴らしい時間を過ごしていることだろうね。75歳だって、すごいね!ハッピーバースデー、ジョン!君と過ごした素敵な時間が懐かしいよ。君と出会って、たくさんの曲を書いたね、楽しいことがいっぱいあったよね。君がいなくて寂しいよ。でもね、こんなにたくさんの人が集まって、君の75歳の誕生日を祝ってるんだぜ!信じられるかい!?すごいイベントだよ!ビューティフル・ボーイ、僕たちみんなに素晴らしい思い出をありがとうよ!Rest in Peace in the Universe(宇宙で安らかにしててくれよ!)誕生日おめでとう!」という随所にジョンの曲を引用したポールの心温まるメッセージに会場では涙を拭くファンの姿も見られた。

 コンサートの最後を飾ったのは「All You Need is Love」。参加アーティスト全員がステージに集まった。ロックだけでなくカントリーやR&B、ヒップホップまで、集まったミュージシャンのジャンルの多彩な顔ぶれが、ビートルズとジョン・レノンの影響力の大きさを物語っていた。そして、集まった観客の人種と年齢層の幅広さは、いつまでも輝きを失わない楽曲の素晴らしさとバンドの発していたメッセージが普遍的であることを強く示していた。「All You Need is Love」の合唱は終演後も長く続いていた。


Photo by Theo Wargo / Getty Images for Blackbird


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Billboard JAPAN|Daily News 2015年12月9日 11:00:00 更新

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