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Album Review: メディアが大絶賛するには理由がある。浮遊感に酔いしれる芸術的作品ラナ・デル・レイ『ハネムーン』

 この秋は、セレーナ・ゴメスやデミ・ロヴァートといった若手の女性シンガーから、ジャネット・ジャクソンやレオナ・ルイスといったベテラン勢も登場し、11月には1000万枚を突破した『21』以来の新作をリリースするアデルまで、まさに新旧のディーヴァたちが、そろって新作をリリースする。“ディーヴァ”という形容が2000年代から多発し、ちょっと違うかな…というシンガーもいる中で、ラナ・デル・レイは真のディーヴァといっていい存在だ。


 自身初のTOP10ヒットとなった「サマータイム・サッドネス」(2013年)の印象からか、彼女がこれほど古典派で、流行に左右されないシンガーだとは思わなかった。どちらかというと、その「サマー・タイム〜」路線の、EDMやUKポップにあるサウンドを基盤にもつ人だと思ったから。先行シングル「ハイ・バイ・ザ・ビーチ」をはじめ、ラナの神秘的な声にマッチした、浮遊感漂うナンバーが途切れることなく続き、いつまでもその清涼感に浸っていたくなるアルバム『ハネムーン』。クレジットに“ドリーム・ポップ”とあるように、まさに夢見心地なサウンドの結晶だ。


 刹那を綴った“サッドコア”は健在で、どの曲にも物悲しさが漂っているが、“陰”ではない。1曲1曲が、映画の泣けるシーンのようで、「豪華なアート体験」と、メディアが報じた通りの芸術的な世界観を堪能できる。映画音楽にも影響を受けているかとは思うが、本作の彼女は、70年代のバーブラ・ストライザンドに近いものがある。歌唱をひけらかすことなく、自然体で、ジャンルも超越し、“美しい歌声”を誰しもが確信せざるを得ないほど、シンガーとしての存在感をみせているからだ。


 「サマータイム・サッドネス」のヒットもその影響か、ラナ・デル・レイは夏の終わりが最も似合うシンガーだと思う。物憂げな9月の、秋本番をむかえる時、切なくなるあの瞬間を描くには、この声なくして…というほど、ラナのサウンドとヴォーカルがマッチする。本作も、聴くなら“まさに今”で、この時期にしか味わえない、サウンドと季節の融合をご堪能いただきたい。『ハネムーン』という作品には、それだけの価値がある。


Text: 本家 一成


◎リリース情報
『ハネムーン』
ラナ・デル・レイ
2015/09/25 RELEASE
2,646円(tax incl.)

Billboard JAPAN|Daily News 2015年9月29日 19:40:00 更新

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